思考停止が家庭も会社も国もダメにする

エス・アイ・エム
代表コンサルタント(心理カウンセラー)
佐藤 義規 氏

岸田政権の支持率が急速に下がっています。 政府寄りのイメージが強い産経系の FNN 調査でさえ、最新の調査結果では、不支持率が57.2%(支持率は38.6%)と散々たる状況です。(※1)

原因は、安倍元総理の国葬をめぐるドタバタや、後手にまわる旧統一教会問題への対応などで国民の不信感が高まっている中で、更に国民生活へ直結する円安や物価高への対応のまずさが拍車をかけてします。岸田首相は、就任当時『人の話をよく聞く』とアピールしていましたが、聞く相手を間違えているとか、聞くだけの人だ、聞いて検討するだけの「検討士」などと揶揄されています。

しかし、聞く力の有無よりも問題なのは、岸田首相をはじめ、閣僚や官僚に思考停止が疑われることです。前政権の菅政権は、新型コロナ感染症の拡大で反対論が高まる中、東京オリンピック・パラリンピックを強行し、感染対策自体も後手にまわり、支持率も3割を切り退陣に追い込まれました。それゆえ、自民党総裁選挙への立候補表明で「自民党に声が届いていないと国民が感じ、政治の根幹である信頼が崩れている」と岸田氏は述べ、「聞く力」アピールとなったのでしょう。しかし、国民が求めることは、「聞いてもらう」ことではなく、「問題を解決する」ことです。「聞く」ことは、問題を把握するための「手段」であって、「目的」ではありません。「手段」の「目的化」という大きな過ちがあったように思えます。国民の支持が得られないのは、国民が自分たちの声を聞いてもらっていないと感じているからだと単純に捉えてしまったのでしょう。真の問題は、国民が問題だと感じていることを解決できていない、もしくは、解決に向けて動いているように感じていない、つまり、政府のやっていることが国民生活から乖離してると感じているのです。解決に向けた道筋を訴えることや、その過程を示すことで、国民の指示は得られます。思考停止により、手段と目的を取り違え、国民の支持を失ったといえます。思考停止の原因は、能力不足、リーダーシップの欠如、忖度、盲目的服従、前例主義、情報不足、知識不足、縦割り組織や組織の硬直化などでしょうが、いずれにしろ、支持率回復には程遠いと言えます。

それでも約3割の国民が岸田政権を支持しています。先月の時事通信の支持率調査によると、岸田政権を支持する理由の1位は、「他に適当な人がいない」(※2)です。そう答えた人は、他の政治家のことをどれだけ知って理解しているのでしょうか?マスコミの責任も大きいですが、マスコミの流す情報やSNSで流れてくる情報を鵜呑みにし、イメージだけで判断する国民にも問題があります。自分たちの生活はもちろんのこと、子供たちの未来も危うくなってる中で、しっかり考えずにイメージだけで判断したり、誰かの言ったことを真似たり、自分の判断基準を持たずにそれに従う。これも思考停止以外の何物でもありません。

例えば、政府が強行に進めているマイナンバーカードですが、政府は2024年秋に健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」へ切り替える方針を発表しました。任意であるカード取得を、国民皆保険制度とセットにして強制しようとしているにも関わらず、国会の審議も説明もありません。マスコミは、マイナポイント2万円分のポイント付与といったCMを垂れ流し、問題点を追求しません。一方で、マイナンバーカードの前に利用されていた住基カードが紐づいていた住基ネットでの情報漏洩事件で、10日ほど前に複数の逮捕者が出ました。しかし、この事件が大きく取り上げられることもありませんし、国民は気にもしていません。テレビのニュースで取り上げられても、CMで流れるマイナポイントという目先の2万円の方が大事なのです。その2万円は国民が払った税金(マイナポイントだけで2兆円。それ以外にも告や手続き代行業者に多額の税金が投入されています。)から出ており、もらえる人ともらえない人がいるというのは法の下の平等や税の公平性という視点でも問題があるでしょう。このままでは、この国の法制度にまでマイナスの影響が出かねないように思えます。子供の前で2万ポイント貰った話はしても、こうした問題を語る人はほとんどいないでしょう。子供も大人に倣います。

多くの国民もマスコミも思考停止しているようで、目の前のこと(損得)にしか反応しなくなっています。これでは、日本という国も、企業も、家庭にさえも、明るい未来が来るようにはとても思えません。仮に反対しても変わらないからと、黙っている人も多いでしょう。その時点で思考停止しているのです。あなたがたった1票と軽んじたその1票が欲しいから、政治家は旧統一教会という怪しい団体とも関係を持ったり、不正な買収工作が行われるのです。

実際に1票未満の差で決まった事例は何度もあります。2018年1月の香川県の三豊市議会議員選挙では、最下位当選者と次点候補者との差が0.327票でした。(小数を含む票数になるのは、複数の候補者に該当しそうな票(按分票)があるためです。)2017年3月の広島県安芸太田町議会議員選挙では、最下位当選者と次点候補者の差は0.895票。同年8月の熊本県八代市議会議員選挙では0.723票差で当落が決まっています。また、票の数え直しで当落が入れ替わった事例もあります。(※4)

それでもあなたが1票では変えられないと思うなら、2票、3票と同じ主張の人とつながればいいだけです。会社であっても同様です。自分と同じ意見の同僚や影響力のある人と連携すればいいのです。今はSNSやメールなど繋がるための手段は沢山あります。頭を働かせましょう。思考停止になって、自分の生活や子供たちの未来をおかしなものにしないために、自分の意見を主張できるようにし、思考停止したゆで蛙にならないようにしましょう。

※1:岸田内閣 支持率続落38.6% 物価高対応「評価しない」76.0% FNN世論調査【2022年11月】

https://www.fnn.jp/articles/-/444450

※2:内閣支持続落27%=初の3割割れ、不支持43%―時事世論調査(時事通信)

 https://sp.m.jiji.com/article/show/2831786 

※3:住基ネット情報漏えい容疑 東京都杉並区職員ら2人逮捕―警視庁(時事通信)         

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022110500461&g=soc

※4:1票差当選、無効と裁決 「当落」入れ替わる(毎日新聞)

https://mainichi.jp/articles/20180222/k00/00m/010/091000c

以上

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