日本のマイナンバーとマイナンバーカード最新動向
1.マイナンバーとは?
2015年に日本で開始されたマイナンバーは個人に与えられる12桁の番号で「個人番号」とも呼ばれます。社会保障、税、災害対策など主に行政が行う分野において横断的な番号制を導入することにより、分野間で同じ人の個人情報の特定・確認が確実かつ迅速にできるようになり、行政の効率化、国民の利便性の向上を実現するものです。皆さんよくご存じの米国の社会保障番号と同様のものとなります。
2.対象者は?
マイナンバーが付与されるのは日本に住民票のある人になります。米国在住の日本人(日本国籍)は日本に住民票がないのでマイナンバーを持つことはありませんが、日本に住民票を残したままの人は付与されています。将来日本に帰国(旅行などの短期滞在ではなく移住)することになれば、帰国後住民登録することになりますからその時点でマイナンバーが付与されます。日本人(グリーンカード保有者)だけでなく、外国籍取得者も同様に付与されます。
また2015年以降に国外転出した人はマイナンバーが付与されたままの状態であり、その番号は生涯その人のものとして登録されます。ただし海外居住中はそのマイナンバーは無効の状態です。(駐在員など一部を除く)
ところで日本に住民票のない米国在住者はマイナンバーが無いので、日本の行政サービス、銀行口座の利用や、日本の年金の受給ができなくなってしまうのですか?といった問い合わせを受けることがありますが、そのようなことはありません。住民票の無い海外居住者はもともとマイナンバーがありませんから、そのまま今まで通りサービスは利用できるし、年金も受給できます。
3.今後日本へ永住帰国された場合のマイナンバー取得方法
手続はいたってシンプルです。前述の通り日本に帰国して市町村役場で住民登録すると自動的にマイナンバーが付与されます。後日自宅宛に個人番号通知書(後述)が郵送され、そこに氏名、番号が記載されています。2015年以降に日本を出国(転出)し既にマイナンバーをお持ちの人は、同じ番号が付与されます。
4.マイナンバーを証明する「個人番号通知書」と「マイナンバーカード」
住所登録すると後日全員に個人番号通知書が郵送されます。以前は米国のソーシャルセキュリティーカードと似たような紙の「通知カード」が送られていたのですが、2020年5月に個人番号通知書という書面に変わりました。
そして次のステップとして希望者に対しマイナンバーカードが発行されます。これはプラスチック製のカードで住所、氏名、生年月日、個人番号記載の他、顔写真やQRコード、ICチップも内蔵されており、身分証明書として使用や、税金の電子申請、住民票など各種証明書のコンビニエンスストアでの取得といった手続きの効率化が実現できます。また現在は登録すれば健康保険証としても利用できます。但し医療機関側でマイナンバーカードへの対応が遅れているため利用者はまだ少ないようです。
前述の通りマイナンバーカードは希望者に対してのみ発行されるので、取得には申請手続きが必要となります。日本政府としては国民全員がこのマイナンバーカードを申請・取得することを目標としていますが、当初の取得率はとても低くなかなか国民に浸透しませんでした。理由は、すべての行政手続きに対応しているわけではないこと、金融資産の透明化による納税者への悪影響を懸念する考えがあること、このカード1枚でほぼすべての個人情報が流出されてしまう不安感(尚実際ICチップにはプライバシー性の高い情報は記録されていません)、などと言われています。その後総務省がカード保有者を対象に「キャッシュレス決済」「健康保険証の利用申込み」「公金受取口座の登録」を行うとポイントを還元する「マイナポイント」制度を実施したことで保有者が増え、2025年7月時点での普及率は約79.2%となっています。(「マイナンバーカード交付状況について~総務省」による)
5.マイナンバーカードの取得方法
前述の通り、個人番号通知書は全員に郵送されますがマイナンバーカードは申請しないと取得できません。取得方法はパソコン、スマートフォン、街中にある証明写真ボックスから顔写真データを送るのですが、高齢者など不慣れな人は地元の市町村役場でも対応してくれます。
<海外居住者もマイナンバーカードを取得できるようになりました>
2025年5月27日以降海外居住者もマイナンバーカードを取得できるようになりました。ただしよく誤解されるのですが、対象はあくまでも2015年10月15日(日本でマイナンバー制度が始まった日)以降に国外転出した人、つまり国外転出前に既にマイナンバーが付与された人のみとなります。それ以前に国外転出していて、一度もマイナンバーを持ったことがなければ取得できません。
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