ペットの捨て子

日本は未だにペットストアでペットが売られている、これはペットの福祉に反する、という意見がありますね。ブリーダーが仕事としてペットを無理に作り出す、店頭に商品として並べて飼育の大変さを考えず、安易にお店でペットを買える、ペットを飼いきれなくなり、捨て子する、売れ残ったペットが殺処分されている、などなど問題は多いということです。（参考文献：「ビッグモーターより悪質」と批判殺到！ペット業者めぐる新潮報道、ペットショップの生体販売は禁止すべき？Diamond Online 2023.9.16）

私の住んでいるイリノイ州では、ペットをペットストアで売ることは10年ほど以前に禁止になりました。現在では、米国の約300の都市でペットストアで小動物を販売することは禁止されています。しかし、全ての州や都市で禁止されている訳ではありません。また、インターネットでもペットを買うことができます。インターネットでペットを買うのは、実物を見ないで買うのはリスクも伴いますし、わざわざ別の州や都市のペットストアに買いにいくのは、ペットを移動させる間にペットもストレスを感じる可能性があります。（参考文献：”Ending Retail Puppy Sales: Standing Against Puppy Mill Cruelty”, ASPCA:）

ペットストアで売ることを禁止すれば、確かに悪質なブリーダーがペットを販売する先を狭めることはできるかもしれません。しかし、残念ながら、それだけではペットの捨て子が減るとは思えません。

５月は米国では大学卒業シーズンです。ペットの捨て子が多くなるシーズンでもあります。残念ながら、卒業して別の場所に引っ越す際に、大学のキャンパスのある街にペットを捨てていくという卒業生が一定数いるからです。

アメリカの大学は人里離れた大学街にあることが多く、大学生は大体、キャンパス内の寮、アパートなどに住んでいます。初めて親元を離れて、高校まで一緒だった近所の友達とも離れて寂しくて、犬とか猫を飼い始める大学生もいます。大学の勉強も大変でストレスもたまります。大学に通っている間は、ペットにさぞかし癒されたと思いますが、いざ卒業となって、仕事を見つけて、仕事場の近くに引っ越す段階で、借りることができる金額のアパートがペットお断りの所しかみつからなかった、海外に留学することになり、ペットを連れていけなくなった、親が実家にペットを連れてくるなという、などペットを捨てていく理由は様々です。（参考文献：”Some local college students leaving behind their pets”, WEAU 13 news, May 17, 2018）

犬がいれば癒しにはなりますが、責任もついてきます。家族全員が家を空ける場合に、誰が面倒をみるのか？（ペットホテルはイリノイ州の私の家の周辺では一泊50ドル）。狂犬病などの予防注射も打つ必要がある（一年に$100以上）。犬だって病気になったり、年をとって、目や耳が悪くなる可能性もあります。犬にも痴呆症がでる、という話も聞きます。犬は10年以上生きるのですから、犬を欲しがった小学生の子供が、犬の一生のうちに、高校生になってクラブ活動や勉強が忙しくなる、大学生になって家を出る、という家族の変化もあるでしょう。その時にどうするの、ということにもなりますよね。

犬のガン治療のため、化学療法を受けさせたり、過剰な延命措置をするのもどうかと思いますが、ペットをおもちゃと同じように捨ててくるのは言語道断です。買い始めたペットはきちんと最後まで面倒を見ましょう。その覚悟がないのであれば、最初から飼うのはやめましょう。大学生の子供がキャンパスタウンで犬を飼いたい、と言い出したら、どこまで覚悟があるのか、きちんと話し合いましょう。

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