米国市民権取得

CDH会計事務所
米国公認会計士
武藤 登

米国市民権を取得するための一般的な市民権申請(帰化)プロセスを説明します。

<1. 資格要件の確認>

米国市民権を取得するためには、以下の基本要件を満たす必要があります:

  • 永住権保持者: 米国の合法的な永住権(グリーンカード)を持っていること

  • 18歳以上であること

  • 居住要件: 過去5年間(配偶者が市民の場合は3年間)米国に居住していること

  • 過去5年間のうち、少なくとも50%の期間を米国内に滞在していたこと(米国市民の配偶者の場合は、この期間が短縮される場合もある)

  • 米国市民権を申請した州で、少なくとも3ヶ月居住していること

  • 良好な道徳的性格:犯罪歴がないこと(一定の例外あり)、道徳に反する犯罪を起こしていないこと

過去5年以内に逮捕歴があったり、過去に重罪で逮捕されたことがある場合、その最終処分の供述書を裁判所から取り寄せる必要があります。さらに、更正しているという供述書が必要な場合もあります。なお、DV(家庭内暴力)や道徳に反する犯罪歴があっても、認可される可能性はあります。飲酒運転などの犯罪歴も、裁判所から下された条件を満たしたことを証明すれば、ほとんどの場合は取得できます。この証明には、裁判所から発行される「Docket Reports」などが有効です。ただし、執行猶予期間内の場合、期間終了まで再申請を待たされる可能性があります。

  • 英語能力:英語の読み書きと会話能力が必要

  • 市民権テスト:米国の歴史や政治についての知識を問うテストに合格すること

口頭と筆記のどちらかで行われ、50歳以上でグリーンカードを取得して20年以上になる場合、あるいは55歳以上でグリーンカードを取得して15年以上になる人は、通訳の同伴が可能です。

<米国市民の配偶者で、5年居住条件の期間が短縮される場合>
米国永住権保持者の配偶者が米国市民の場合、居住期間5年の条件は3年に短縮されます。ですが、米国市民権を申請する時点で、申請者の米国永住権取得の際、請願者となった米国市民と、引き続き婚姻関係でなくてはなりません。さらに、申請前の少なくとも過去3年間、夫婦は一緒に暮らしていなくてはなりません。申請後は同居する必要はありませんが、帰化のプロセスが完了するまでは婚姻関係になければなりません。

なお、居住期間の条件が3年に短縮される場合、過去3年間のうち、少なくとも50%の期間を米国内に滞在していなければなりません。 

<連続して365日以上を米国外で過ごしていても申請が認められる場合>
米国外にある米国政府、米国研究機関、貿易や通商の発展に従事する米国法人、もしくは米国が加入する公的国際機関での就労者は、連続して 365日以上、米国外で滞在していても、米国市民権を申請することが認められています。詳細は、移民国籍法 (Immigration and Nationality Act) の第 316 条 (b) をご覧ください。

<2. 申請書の提出>

  • N-400フォームの提出:必要書類を準備し、USCIS(米国市民権移民局)のウェブサイトからN-400フォームをダウンロードして記入し提出

  • この申請用紙に写真2枚、パスポート、グリーンカード(表裏)のコピーを添える

  • 手数料の支払い:申請には手数料がかかる

2024年度は$765ですが料金は変更される可能性があるので、最新の情報を確認してください。

<3. 入国管理局からの通知>

申請を提出すると、USCISから受理通知が届きます。通常、数週間内に通知が来ることが多いです。

<4. バイオメトリクス:生体認証>

指紋採取のためのバイオメトリクス予約が行われます。指定されたセンターで指紋を採取し、犯罪歴の確認を行います。

<5. 面接>

USCISの審査官との面接があります。このとき、英語能力や市民権テストが行われます。20問すべての質問に対して正直に答えることが重要で、6割以上正解すると合格です。

<6. 合格・不合格通知>

面接後、USCISは申請結果を通知します。合格した場合、次のステップに進みます。

<7. 市民権宣誓式>

合格が確認されると、市民権を授与されるための宣誓式に招待されます。この式で宣誓を行った後、正式に米国市民となります。

<8. 市民権証書の受領>

宣誓後、市民権証書が発行されます。これを持つことにより正式に米国市民としての権利を持つようになります。

<注意点>

  • 日本国籍の喪失:自分の意思で外国の市民権を取得した場合、日本の国籍は自動的に喪失します。必ず最寄りの領事館に届け出てください。届け出なかったからと言って日本国籍が残っているわけではありません。

  • 場合によっては1年超のケースもあるように手続きには時間がかかる場合があるため、早めに準備を始めることが重要です。

  • 婚姻関係が継続されていることを証明できる書類を多く準備しておくということです。(婚姻後のJoint Tax Return、保険、共同名義の車や不動産、賃貸借契約書等)

各ステップでの必要書類や手数料については、USCISの公式ウェブサイトで最新の情報を確認してください。このプロセスは一般的なガイドラインであり、個々の状況によって異なる場合もあります。具体的な不安や疑問がある場合は、移民弁護士に相談することをお勧めします。 

参照

以上

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