米国駐在員の確定申告2026|NISA・副業・FBARなど知らないと危険な税務8選

CDH会計事務所
税務部門マネージャー
柴原 舞

米国駐在員の確定申告では、日本と米国の税制の違いから思わぬ税務リスクが発生することがあります。特にSNS副業、NISAやiDeCo、日本口座のFBAR申告などは見落とされがちなポイントです。本記事では、米国駐在員が注意すべき税務ポイントをわかりやすく解説します。

1. 副収入の取り扱い(SNS等での副収入も報告が必要)

米国では、給与所得以外の副収入(SNSでの広告収入、YouTube収益、フリーランス活動など)も全て「全世界所得」を申告する義務があります。たとえ日本で課税されていなくても、米国居住者は米国税法上、全ての所得をIRS(米国内歳入庁)に報告しなければなりません。未申告の場合、ペナルティや追徴課税のリスクがありますのでご注意ください 。

2. NISAやiDeCoのような日本で税優遇のある投資収入も、米国では全額課税対象

日本で非課税・税優遇となるNISAやiDeCoの配当・利息・キャピタルゲインも、米国では原則として全額課税対象です。米国税法では日本の非課税制度は考慮されず、投資収益は通常の投資所得として申告・課税されます。特にNISAやiDeCoの口座はPFIC(Passive Foreign Investment Company)や外国年金口座として追加の情報開示義務や複雑な課税ルールが適用される場合があるので注意が必要です。

3. 副収入や投資収入増加時のEqualization(イコライゼーション)の必要性

副収入や投資収入など個人的な所得が増加した場合、会社が負担する税金と個人の税負担のバランスが崩れることがあります。そういった場合は、会社負担分税金額と個人負担分税金額を公平に計算する税額調整(Tax Equalization)を行う事をお勧めします。副収入や投資収入が増えた場合は、会社の人事・税務担当者と早めに相談し、適切な調整を行いましょう 。

4. 企業年金や生命保険口座もFBARの対象

日本の企業年金口座や生命保険(解約返戻金があるもの等)も、米国税法上「外国金融口座」とみなされ、FBAR(外国銀行・金融口座報告義務)の対象となる可能性があります。FBARは、米国外の全ての金融口座(銀行、証券、年金、保険等)を合算し、年間いずれかの時点で合計残高が$10,000を超える場合に、FinCEN Form 114で報告が必要です 。

5. 子供の日本の口座も、全口座合計が$10,000以上の場合はFBARの対象

忘れがちなのが、扶養家族の子供名義の口座もFBAR報告対象です。例えば、毎年お年玉を貯めていた、もしくは、日本の祖父母がお子様の為にお金を貯めてくれていたお子様の日本の銀行口座の年間最高残高合計が$10,000を超える場合は、お子様のお名前で全ての口座情報をFBARで報告する必要があります。未報告の場合、高額な罰金が科されるリスクがありますのでご注意ください 。

6. 今年の注目トピック:還付自動入金・追加納税自動引き落とし

2026年の確定申告では、還付金の自動入金(Direct Deposit)や追加納税の自動引き落とし(Direct Debit)が推奨されています。還付金は米国の銀行口座への直接入金が最も迅速・安全です。追加納税が必要な場合は、申告時に銀行口座情報を登録することで自動引き落としが可能です。これにより納付漏れや遅延ペナルティを防ぐことができます。米国外の銀行口座、または会社の銀行口座は利用できませんので、米国内でご自身の口座を準備してください 。

7. ESTAで短期出張ベースで米国に入国する場合の課税

トランプ政権下でビザ発給が厳格化される中、ESTA(ビザ免除プログラム)で短期出張するケースが増えています。ESTAでの短期滞在でも、米国内で業務を行い報酬を受け取る場合は米国源泉所得となり、米国で課税対象となる場合があります。特に183日ルール(substantial presence test)や米国源泉所得の有無に注意が必要です。滞在日数や業務内容によっては、出張ベースで米国に来て働く場合、米国での確定申告義務が発生するかもしれないので、事前に税務アドバイザーにご相談ください 。

8. 米国での年末調整(Year end gross up)を受けた場合の確定申告義務

米国では、年末調整にて税金計算を行っていても、確定申告義務が免除されるわけではありません。米国税法上、全ての所得(給与、福利厚生ベネフィット等)は申告対象です。また、例えば、ベネフィットである社有車の個人使用分などが年末調整にて給与に含まれている場合、確定申告で再度個別に申告する必要はありませんが、会社からの給与明細やW-2に正しく反映されているか確認しましょう 。

まとめ

米国の税務申告は、日本と大きく異なる点が多く、特に副収入・投資収入・金融口座の報告義務には十分な注意が必要です。ご不明点や個別の状況については、必ず専門家にご相談ください。

(本ニュースレターは2026年3月時点の米国税法・規則に基づいて作成しています。今後の法改正等にご注意ください。)

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