米国Per Diemとは?非課税となる条件と企業が押さえるべき税務ポイント
CDH会計事務所
税務部門マネージャー
柴原 舞
米国では、出張時の宿泊費や食事代などを一定額で支給するPer Diem(出張日当)という制度があります。実費精算の代わりに一定額を支給できるため、経理業務の効率化につながる一方で、税務上のルールを正しく理解して運用しなければ、従業員への支給額が給与として課税される可能性があります。
本記事では、Per Diem制度の基本と、企業が押さえておきたい税務上のポイントをご紹介します。
◆ Per Diemは「非課税の日当」とは限らない
Per Diemとは、出張時に発生する宿泊費や食事代・雑費を、実際にかかった金額ではなく、あらかじめ定められた一定額で精算する制度です。
「Per Diemは非課税」と認識されることもありますが、実際には一定の条件を満たした場合にのみ非課税となります。その判断のポイントとなるのが、IRSが定めるAccountable Planのルールです。
◆ 非課税となる3つの条件
Per Diemを非課税で支給するためには、Accountable Planの要件を満たす必要があります。
まず1つ目は、Business Connection(事業上の関連性)です。支給は業務上必要な出張に対するものでなければなりません。
2つ目は、Substantiation(証憑・記録)です。従業員は「いつ」「どこへ」「何の目的で」出張したのかを会社へ報告し、会社はその記録を保管する必要があります。Per Diemでは領収書の提出が不要となる場合がありますが、出張そのものを証明する記録まで不要になるわけではありません。
3つ目は、Return of Excess(超過額の返還)です。必要以上に支給された金額がある場合は、会社へ返還しなければなりません。
これらの要件を満たさない場合、Per DiemはNonaccountable Planとして扱われ、支給額は給与として課税され、Payroll Taxの対象となります。
◆ Federal Per Diem Rateを超える支給には注意
Per Diemには、実際の支出額ではなくFederal Per Diem Rateを利用できる特則があります。これにより、金額に関する証憑を簡略化できることが大きなメリットです。
通常、実費精算を行う場合は、宿泊費や食事代などについて領収書等により実際に支払った金額を証明する必要があります。一方、IRSの要件を満たしたPer Diemを利用する場合は、Federal Per Diem Rateの範囲内であれば、原則として金額を証明するための領収書の提出は不要となります。
ただし、Per Diemを利用する場合でも、出張日、出張先、業務目的など、出張が業務上必要であったことを証明する記録(Business Connection)は引き続き必要です。つまり、Per Diemによって簡略化されるのは「支出金額の証明」であり、出張そのものを証明する記録まで不要になるわけではありません。
なお、IRSが定めるFederal Per Diem Rateを超えて支給した金額は、原則として給与課税の対象となります。
また、Per Diem Rateは毎年更新され、地域や季節によって異なります。そのため、出張先ごとの最新レートを確認したうえで運用することが重要です。
👇Federal Per Diem Rateの確認はこちらから
https://www.gsa.gov/travel/plan-book/per-diem-rates
◆ 企業が陥りやすい3つの注意点
実務では、次のようなケースが税務上問題となることがあります。
出張していない従業員にも一律で手当を支給している
給与の一部をPer Diemへ付け替えている
宿泊を伴わない日帰り出張にもPer Diemを支給している
これらはAccountable Planの要件を満たさない可能性があり、給与課税やPayroll Taxの追加負担につながるリスクがあります。
◆ 会社側が押さえておきたいポイント
Per Diemは従業員だけでなく、会社の税務にも影響します。
例えば、Per Diemに宿泊費と食事代の両方が含まれる場合は、それぞれを会計上区分して管理することで、法人税上より有利な取り扱いとなるケースがあります。また、本来給与として課税すべきPer Diemを給与に反映していない場合には、Payroll Taxの不足やペナルティにつながる可能性もあります。
制度を導入する際には、レートの確認だけでなく、社内規程や運用方法がAccountable Planの要件を満たしているかを定期的に見直すことが重要です。
◆ まとめ
Per Diemは経費精算を効率化できる便利な制度ですが、「非課税の日当」ではありません。非課税となるためには、Accountable Planの3つの要件を満たし、Federal Per Diem Rateに基づいて適切に運用する必要があります。
企業にとって重要なのは、最新のレートを確認することだけではなく、制度そのものが税務上のルールに沿って設計・運用されているかという点です。Per Diemを適切に活用することで、税務リスクを軽減しながら、効率的な出張経費管理につなげることができます。
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