ヨーグルトの隠された真実  ~ヨーグルトの健康影響を決める7つの視点

機能性医学の学会The Institute for Functional Medicine
認定Practitioner
松本 明子

「健康の象徴」とも言われるヨーグルト。けれど、その本当の姿を知る人は案外少ないのかもしれない。

ヨーグルトは、紀元前5000年頃、家畜化された羊や牛、山羊の乳が自然発酵することで偶然に誕生したとされる。乳酸菌による発酵は保存性と栄養価を高め、乳糖もある程度分解されるため、乳糖不耐症の人でも摂取しやすい。古代では保存食としてだけでなく、薬や儀式の道具としても用いられていた。

20世紀初頭、ロシアの生物学者メチニコフが、ブルガリアの伝統的ヨーグルトと健康長寿の関係に注目し、Lactobacillus bulgaricus という乳酸菌が腸内環境の改善や長寿に寄与していると発表。これが世界的な関心を呼び、日本では1970年の大阪万博を機にブルガリア・ヨーグルトが紹介され、一般家庭にも広まった。

しかし、現代のスーパーに並ぶヨーグルトは、果たして古来のそれと同じものなのだろうか?「ヨーグルトって体にいいの?」と聞かれたとき、私はこう答える。「それは、あなたの腸だけが知っている」と。

ヨーグルトの健康影響を考えるには、以下の7つの視点が重要である。

1. 添加物と甘味料

砂糖や人工甘味料、合成香料が加えられたヨーグルトは、腸内環境に悪影響を及ぼす可能性がある。

→ 腸内バランスが乱れることで、慢性疲労や集中力低下のリスク増。

2. 発酵前の殺菌方法

1970年代以降、日本やアメリカでは、生乳は超高温殺菌されるのが一般的。これにより保存性は高まるが、乳脂肪の酸化やタンパク質の変性が起こり、消化性が低下する可能性がある。

→栄養吸収が悪くなり、腸の炎症を起こす可能性。

3. 飼育環境とホルモン・抗生剤

狭い牛舎で遺伝子組み換え飼料を与えられた牛と、自然放牧された牛では、乳の質が大きく異なる。抗生剤や成長ホルモンの使用、人工妊娠によるエストロゲンの混入など、乳に含まれる成分がヒトの健康に影響を及ぼす可能性もある。

→ホルモンバランスや免疫反応に微妙な影響が出る可能性あり。

4.乳の種類とカセインの型

乳は87%が水分で、3%がタンパク質である。タンパク質はカセインが80%でホエイが20%。カセインには2種類ある。消化されやすいA2型と、消化しにくくモルヒネ様の物質に変化し、腸粘膜を刺激して炎症を起こしやすいA1型である。A2型を作るのが牛の伝統的品種、水牛、山羊、羊、ラクダ。日本の乳牛の99%、アメリカで86%を占めるホルシュタインが作るのがA1型である。乳製品が健康長寿と関連しているとみられる地域(イタリア南部やギリシャ、ブルガリア等)も、ホルシュタインが増えてきているものの、まだ、主体ではない。

→一般のヨーグルトは腸の炎症が起こり、集中力やメンタル、睡眠の質にも関わる可能性あり。

5. カルシウム過剰

カルシウムは必要不可欠な栄養素だが、過剰摂取は神経過敏や血管収縮、動脈硬化のリスクを高める可能性がある。

→血圧や神経系の過敏化が起こりやすく、日中のパフォーマンス低下に直結

ここまでは乳製品そのものの問題であるが、次に重要なのは「食べる人の腸の状態」である。

6. プロバイオティクスと腸内環境

乳酸菌は腸内環境の改善や免疫調整、精神安定などに寄与するが、過敏性腸症候群などで小腸に細菌が増えている人では、ヨーグルトの摂取が逆効果になることもある。腸の状態によっては、善玉菌も「過剰」になりうるのだ。

→腸の状態によっては、下痢・ガス・腹部不快感などが起こり、仕事や日常活動に支障。

7. 食物過敏と遅延型症状

乳に対する食物過敏があると、腸に炎症を起こし、数日後に頭痛や関節痛、皮膚炎などの症状が現れることがある。A1型カセインがその一因とされるが、羊乳や山羊乳でも反応する人もいる。

→腸の慢性的な炎症がメタボ、ガン、自己免疫疾患等のリスクを高める可能性がある。

結論

ヨーグルトが健康に良いかどうかは、製品の質と、食べる人の腸の状態によって大きく左右される。どんなに質の良いヨーグルトでも、あなたの腸に合わなければ意味がない。だからこそ「あなたの腸だけが知っている」のである。

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今回の詳しい話はhttps://youtu.be/E2UzXEiDHB8

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