冬の三重感染リスク:RSウイルス(RSV)・インフルエンザ・新型コロナウイルス(COVID-19)― 「風邪だと思い込む」と周囲に広げてしまう
機能性医学の学会The Institute for Functional Medicine
認定Practitioner
松本 明子
「少し喉が痛い」「微熱があるけど仕事はできる」——そんな状態で勤務する人は少なくない。医療現場でも、感冒症状があるまま働く看護師さんに「頼むから休んでよ」と思うことがよくあった。 そしてこの冬は、風邪よりも症状が重く、周囲にうつしやすいRSウイルス・インフルエンザ・COVID-19の三つがすでに同時に流行している。
これらは風邪と似た症状を示すが、感染力、重症化リスク、回復の軌道、家庭への影響⎼⎼ どれを取っても風邪とは別物である。
風邪との最大の違い①:感染力と破壊力が大きい
風邪はじわじわ広がるが、RSV・インフルエンザ・COVID-19は一気に広がる。 特にインフルエンザとCOVID-19は、軽症者でも強い感染力を持つため、
「軽い症状で出社」=職場全体が感染する可能性
が現実的に起こりうる。インフルエンザで学級閉鎖が起きるのは、感染力が桁違いだからだ。
RSウイルスは大人では軽症でも、高齢者にうつすと肺炎など重症化しやすい。 つまり、風邪と同じ扱いをすると、職場と家庭の両方に大きな影響が出る。
風邪との最大の違い②:一度良くなっても再悪化する“二次感染”
風邪は通常、数日で自然に回復する。しかしこれらの感染症は違う。 二次感染が起きやすいのである。
一度熱が下がったのに再び上がる
咳や黄色〜緑の鼻汁がぶり返す
倦怠感が再度出現する
こうした“再悪化”の時は、二次的な細菌感染が起きている可能性がある。 医療機関では症状の経過が重要な判断材料になるため、
「一度良くなったのに、また悪化した」
という情報は必ず伝えたい。 ウイルス感染には抗菌薬は不要だが、細菌性の二次感染がある場合は抗菌薬が必要になることもある。つまり、受診の指標でもある。
高齢者と介護世代は特に注意
40〜60代の人は、仕事と並行して高齢の親と過ごす機会も多い。 RSウイルス・インフルエンザ・COVID-19はいずれも高齢者にとって重症化リスクが高い。
「自分は軽症でも、親にうつすと重症化する」 この視点は、とても重要なのである。
軽症なら仕事をしてもいいのか?——私自身の葛藤
私は週末に日本語補習校で小中学生に授業をしている。ある秋、息子が百日咳にかかった。 百日咳とわかったのは発症からかなり経った後で、私は感染している可能性が高かった。
百日咳はワクチン接種後でも発症することがあり、夜間の激しい咳が百日程度続く。 本人も家族も睡眠不足で消耗する感染症である。
私は症状がほとんどなかったが、 「もし学校で子どもにうつしたら、その子も家族も3ヶ月苦しむ」 そう考えると、仕事に行く決断は簡単ではなかった。
最終的に管理者と相談して出勤し、結果的に感染は広がらなかったが、 “軽症だから働いてよい”という単純な話ではないのである。
対策しよう!
1. 冬は人間が弱くなる季節——ビタミンD不足
冬は日照時間が短く、太陽光の角度も低いため、皮膚でビタミンDを作りにくい。 さらに50歳を過ぎるとビタミンDの合成能力が大きく低下する。
ビタミンDは免疫細胞を元気にし、バリア機能を支える働きがある。 不足するとウイルスへの初期防御が弱くなる。日本人は約98%が不足しているとも言われる。
多い食材:鮭、サバ、卵 (キノコのビタミンDはヒトでは使われにくいが、キノコ類は別の面で免疫に役立つ)
2. ビタミンC
免疫細胞の“ガソリン”のような役割。ストレスで消費されやすい。 多い食材:柑橘類、キウイ、パプリカ、いちご、ブロッコリー
3. 亜鉛
免疫細胞の生成に関わる。 多い食材:牡蠣、牛肉、レバー、豆類、ナッツ
4. タンパク質・糖質
免疫細胞も“細胞”である以上、材料はタンパク質、エネルギーは糖質(と脂質)。 質の良い食事は免疫の土台になる。
5. 乾燥と低温——冬の“見えない敵”
冬は湿度が下がり、喉や鼻の粘膜が乾燥する。 乾燥した粘膜はウイルスを捕まえる力が弱く、感染しやすくなる。 さらに低温ではウイルスが空気中で長く生存し、免疫細胞の働きも鈍る。
ここで役立つのが、マスクの“保温・保湿効果”。
喉を湿らせる
鼻から入る空気を温める
粘膜の防御力を保つ
感染していなくても、周囲に人がいなくても、冬のマスクは予防に有効である。
6. 最後に:睡眠は最強の免疫強化策
世界でも短時間睡眠が多い日本人。 しかし、感染症にかからないためにも、かかった時に早く回復するためにも、 最も大事なのは“寝ること”である。 実も蓋もないが、睡眠ほど強力な免疫強化策はない。
まとめ
ビタミンC・D・亜鉛を含む食材を意識して食べる
良質なタンパク質・脂質・適度な炭水化物もしっかり摂る
よく寝る(少なくとも休む)
「おかしいな」と思ったら仕事を休む=感染を広げない
当たり前のことを当たり前にすることが、 自分を守り、周囲を守る最も確実な方法である。そして、仕事の質や効率を上げるには仕事をする人の健康が何よりなのである。
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風邪をひいたらどうする?https://youtu.be/TZNcrAy55LQ
風邪をひいたときのビタミンCの摂り方 https://youtu.be/_cMqleC0A6o