クリスマスはキリストさまのお誕生日なの?

「メリークリスマス!」と言いたいところですが、「ハッピーホリデー!」にしておきます。

以前、アメリカ人で日本に留学経験のある友達に「私はユダヤ教で、別にクリスマスはお祝いしないのに、日本人はアメリカの白人は全員クリスチャンだと思っているみたいですね」と言われたことがあります。

皆様の職場にもいろいろな宗教の方がいらっしゃると思いますので、挨拶は「ハッピーホリデー」となさった方が無難です。

12月25日は、「キリスト様のお誕生日」で、聖母マリア様が「馬小屋」でキリスト様を産んだ、とされており、「クリスマス(降誕祭)」と呼ばれています。また、西暦は、キリスト様が生まれた年を元年とし、その後が紀元後(A.D: Anno Domini)、それ以前は紀元前(B.C: Before Christ)とされています。

しかし、高校の世界史の時間に、キリスト様は一般に信じられている「(紀元・西暦)元年」ではなく、「紀元前7年から紀元前4年」ぐらいに生まれた、と習いました。実際、これが、現代の歴史学・聖書学の共通見解だそうです。(参考文献:”The Historical Jesus: A Comprehensive Guide”, Gerd Theissen and Annette Merz)

次に、本当に聖母マリア様が12月25日に野外の馬小屋でお産をされたのでしょうか?

現在のベツレヘム(パレスチナ自治区)の気象データを調べますと、12月は一年で一番寒い時期で、平均最高気温は 摂氏13C-16C(55F-60F)、最低気温は7C-10C(40F-50F)とのことです。普通考えて、ほぼ屋外の馬小屋でお産などできる気候だとは思えません。

新約聖書に書かれていることを元に、学術的にキリストさまの誕生時期は以下のようだそうです。

  • キリスト様が生まれた時、「その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた」(「ルカによる福音書」2.8)と記されています。ベツレヘムの気候を考えると、羊を放牧するのは、春の暖かい時期(4-10月)とのことです。

  • お誕生の時に、賢者たちが「東方で見た星が先だって進み、ついに幼子のいる場所に止まった」とも記されています。(「マタイによる福音書」2:1-12)天文学的に彗星、惑星などの接近を計算すると、3月から4月となるそうです。

  • ヨセフ(聖母マリアの婚約者)と聖母マリアは、皇帝アウグストスが出した「全世界の人口調査(登録)」のためにベツレヘムへ向かった、その途中、聖母マリアがキリスト様を生んだ、と書かれています。(「ルカによる福音書」2.1-5)ローマ帝国が人口調査を行う際、旅をしやすい春または秋を選んでいたため、12月に調査を行ったとは考えにくいそうです。

(参考文献:新約聖書:「聖書」新共同訳、日本聖書協会、「聖書考古学」R. K. ハリス、P. E. クッシュマン 他 (著))

では、なぜ、「12月25日」がキリスト様のお誕生日である「クリスマス(降誕祭)」ということになったのでしょうか? 聖書にはどこにもキリスト様のお誕生日は12月25日とは書いてありません。

まず、ローマ帝国では、キリスト教が広まる以前から、12月後半に冬至を祝う祭りが盛んにおこなわれていたそうです。

ローマの農耕の神様であるサトゥルナリア(Saturnalia)を祀るお祭りは、12月17日頃から始まっていたそうです。パーティーもありましたし、プレゼントの交換もあったそうです。

ミスラ教の「不敗の太陽の誕生日(Dies Natalis Solis Invicti)」のお祭りは、まさに12月25日でした。太陽の力が最も弱まった当時を過ぎて、再び強くなっていくことを祝うものでした。

4世紀ごろのキリスト教会は、異教徒をキリスト教に改宗させるために、異教の祝祭日をキリスト教の祭日に置き換えた、と考えられているそうです。12月25日をキリストさまの「生誕祭」として祝う習慣が最初に確認できるのは、4世紀中ごろのローマとのことです。

(参考文献:”How December 25 became Christmas”, Bible History Daily)

キリスト教の祝祭であるクリスマスはキリスト様のお誕生日ではなく、実は歴史的な経緯の中で、古代の冬至を祝う習慣と統合されて成立した可能性が高いというのが、有力な説です。

何はともあれ、楽しいホリデーシーズンを過ごし、良いお年をお迎えください。

今年はお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

2026年が皆様にとって良い年となりますように!

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