よく耳にする「 Form 1099」とは?年末に確認したいポイント
CDH会計事務所
クライアントサクセスパートナー
中尾 倫子
「1099(テンナインティナイン)」という言葉を聞いたことはありませんか? 1099とは、会社や個人事業主が給与以外の1年間の支払いを IRS(米国国税庁)に報告するための書類です。給与(W-2)のように会社が従業員(支払いを受けた側)の税金を源泉徴収する仕組みがないため、IRS に対して会社が「この人にこれだけ支払いました」と報告する役割を持っています。
1099 の基本ルール ― どんな支払いが対象?
アメリカでは、給与(W-2)以外の支払いに対して、Form 1099 を IRS に提出することが義務付けられています。
例えば、次のような支払いが対象になります。
非従業員(外部コンサルタントやフリーランス)への支払い→ 年間$600*以上で Form 1099-NECを提出する必要があります。
弁護士への支払い→ 報酬であれば年間$600*以上で 1099-NEC、 和解金などを弁護士経由で支払う場合は、金額に関係なく 1099-MISCを提出する必要があります。
会計事務所への支払い→会計事務所の形態が個人事業主(Sole Proprietor)、 Single-member LLC、Partnershipであれば年間$600*以上で 1099-NECを提出する必要があります。しかし、 Corporation(PC, PA, Inc)や LLC(税務上法人扱い) の形態では1099は発行する必要はありません。
家賃の支払い→ 年間$600*以上であればForm 1099-NEC。例え家主が法人であってもForm 1099-NECを提出する必要があります。
なお、1099 の作成に際し、会社は W-9というフォームを事前に入手しておく必要があります。W-9とは、支払いを受けた側の名前、事業形態(パートナーシップなど)、住所、納税者番号等が記載されている書類であり、請求先情報シートのような書類です。W-9 は支払いを受けた側が支払側に渡す書類であり、この書類に書かれている情報を基にForm1099を提出する必要があるかを検討します。また、支払いを受けた側のビジネス形態を基にForm1099を提出する必要があるかを特定することができます。
提出期限は翌年1月31日!
Form 1099 には厳格な提出期限があります。
支払いを受けた側(支払先)への送付:1099-MISC、1099-NECを含むすべてのForm1099を翌年1月31日までに送付。
IRSへの提出:1099-NECは1月31日までに提出。1099-MISCは紙での提出が2月28日、電子申告が3月31日が締め切り。
支払いを受けた側とIRSへの提出期限が異なる場合がありますが、IRSへの提出漏れがないようにすべてのForm1099を1月31日までに提出されることをお勧めいたします。
年末に確認したいチェックポイント
支払先の W-9 を早めに回収
W-9は、支払いを受けた側の宛先の情報と納税者番号(TIN)を確認するための書類です。提出期限間近ではなく、余裕をもって年末前に依頼しておくことが大切です。
1年間の支払い履歴を集計
$600以上の支払いがあった先をリスト化し、1月の作業がスムーズにいくよう準備をしましょう。
1099 が必要になりやすい支払いを特定
弁護士や会計事務所への支払い、賞金、インセンティブ、家賃などは 1099 の対象になりやすい支払いです。特に弁護士費用は 支払いの性質により NEC と MISC に分かれるため、年内に確認しておくことが重要です。
Form 1099 を受け取った側は何をする必要があるのか?
Form 1099 を受け取った側(報酬や家賃・賞金などを受け取る側)はForm 1099に書かれてある金額や情報に誤りがないかを確認し、確定申告で所得として正しく申告する必要があります。
【重要】2026年は Form1099 を提出する基準額が$600から$2,000へ変更となります。
2025年に成立した One Big Beautiful Bill Act(OBBBA) により、Form1099提出 のルールが変わりました。
2026年の支払いから報告義務額が $600から$2,000に引き上げ
2027年以降はインフレ調整で毎年変動
この変更により、小規模支払いに関する 1099 発行の頻度は減る見込みです。一方で、報告義務が減るだけで、 Form 1099 を受け取った側の「所得として申告する義務」がなくなるわけではありません。
最後に
Form 1099 は、アメリカで事業を行う上で避けて通ることができない報告制度のひとつですが、仕組みを正しく理解しておくことで年末から年始の作業がぐっとスムーズになります。この機会に、1099 の基本と自社の支払いフローを今一度見直してみましょう。
自社がForm1099を提出する義務があるかどうかの判断がつきにくい場面もありますので、必要に応じて会計士や税務専門家にご相談ください。正しい理解と早めの対策がトラブルを防ぎ、税務対応の負担を大きく減らしてくれます。
*2026年以降の基準額が変更になりますのでご注意ください。
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