米国税法上の非居住者に関わるForm 1042とは?

CDH会計事務所
クライアントサクセスパートナー
中尾 倫子

Form 1042という言葉を聞いたことはありませんか?米国で事業を行う日系企業では、日本の親会社や関連会社との間で配当・利息・ロイヤルティなどのクロスボーダー取引が発生するケースが多くあります。これらの支払が外国法人に対する米国源泉所得(U.S.-source income)該当する場合、米国側の支払者は Form 1042 (Annual Withholding Tax Return for U.S. Source Income of Foreign Persons)および Form 1042‑S を通じて IRS へ適切に報告する必要があります。

本記事では、Form 1042 の基本的な概要、W‑8BEN‑E との関係、実務で特に注意すべきポイントを整理します。

Form 1042とは?

Form 1042(Annual Withholding Tax Return for U.S. Source Income of Foreign Persons) は、非居住者や外国法人に支払われた米国源泉所得およびその源泉徴収税額を IRS(米国国税庁)へ報告するための年次申告書です。提出するのは外国法人ではなく、米国で源泉徴収を行う支払者(Withholding Agent) です。 

Form 1042 の対象となる主な支払

外国法人に対する 米国源泉所得(U.S.-source FDAP income) が対象となります。代表的なものは以下のとおりです:

  • 利息

  • 配当

  • ロイヤルティ

  • サービス対価

  • 賃貸料(Rent)

  • その他 FDAP 所得

日系企業に特に多い例としては、米国子会社 → 日本の親会社への 借入利息、米国子会社 → 日本本社への 配当、商標権やノウハウ使用に伴う ロイヤルティなどが挙げられます。 

Form 1042の提出義務者とW-8BEN-Eの役割

Form 1042 は、支払者(米国法人)が提出 します。外国法人が受取側である場合、その地位を証明し、租税条約に基づく軽減税率の適用を受けるためには W‑8BEN‑E の提出が必要です。

W‑8BEN‑Eとは、日本の親会社などの外国法人が米国子会社へ提出する書類であり、当社は米国の納税者ではない(外国法人である)、日米租税条約に基づく軽減税率を主張する資格があることを証明します。

日本居住者である親会社が日米租税条約の要件を満たす場合、親子会社間の配当に対して軽減税率が適用されます。 租税条約に基づく軽減税率(配当の例)は下記となります。

日本の親会社が米国子会社の株式を保有している場合:

例:日本の親会社が米国子会社を 100%保有 → 条約適用により 源泉徴収不要(0%)

ただし、有効な W‑8BEN‑E を作成していない場合、原則 30%の源泉徴収が必要です。W‑8BEN‑Eは通常 3年間有効です。期限が切れると軽減税率が適用できませんので、定期的な更新・保管が極めて重要です。

Form 1042とForm 1042-Sの関係

Form 1042 とセットで作成すべき書類が Form 1042‑S です。

Form 1042‑S(支払・受取人ごとの明細)には

  • 支払金額

  • 源泉徴収税額

  • 条約の適用状況

  • 受取人情報

を記載し、IRS と受取人双方へ提出 します。

 1042‑S の集計結果を年間報告としてまとめるのが Form 1042 です。したがって、W‑8BEN‑E の内容と整合した正確な入力が求められます。 

提出期限と実務上の留意点

提出期限:翌年 3 月 15 日、期限延長は可能(Form 7004)

ただし 源泉徴収税の納付期限は延長されない 点に注意が必要です。

また、以下の点で誤りが起こりやすいため、慎重な管理が必要です:

  • W‑8BEN‑E の期限切れ

  • 支払内容の源泉区分の誤認

  • 1042‑S コードの入力ミス

  • 支払日と納付日のズレ

日系企業におけるForm 1042対応の重要性

日系企業では次のようなケースが多く、Form 1042 が密接に関係します:

  • 日本本社への配当・利息・ロイヤルティ支払

  • 日本の関連会社へ支払う技術料

  • 駐在員関連費用の負担区分に関する支払

特に、租税条約の適用有無で税務コストが大きく変わるため、支払内容の正確な把握と W‑8BEN‑E の更新管理が極めて重要です

 まとめ

Form 1042 の基本的な考え方は下記となります。

  • Form 1042 は外国法人へ支払う 米国源泉所得に関する年次申告書

  • 提出するのは 米国側の支払者

  • 日米租税条約の適用には W‑8BEN‑E の提出が必須

  • Form 1042‑S とセットで管理する必要がある

  • 締め切りは3月15日

米国税法上の居住者/非居住者の区分や、日米租税条約の理解が不可欠であり、状況によっては専門家の助言が必要です。親会社や関連会社と新たな取引が発生した場合はできる限り早めに税の専門家とご相談されることをお勧めいたします。

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