イリノイ州80/20ルールとは?日本親会社を持つ米系子会社が注意すべき州税リスクを徹底解説

CDH会計事務所
税務部門パートナー
レック 公子

イリノイ州で事業を展開する日本親会社の子会社にとって、「80/20ルール(Addback規定)」は見落としやすい重要論点です。イリノイ州では、2025年12月31日以降(2025年12月31日含む)に終了する事業年度の法人税申告を対象に新80/20ルールが適用されます。

本記事では、Illinois addback rule(イリノイ州加算規定)の基本から、日本企業に多いリスク、そして実務対応までを分かりやすく解説します。

イリノイ州80/20ルール(Addback規定)とは?

イリノイ州では、以下のような取引について注意が必要です:

海外関連会社(80%以上が米国外で活動)への支払いは、州税上「加算(Addback)」される可能性がある

つまり:

  • 連邦税では損金算入OK

  • しかしイリノイ州では課税所得に戻される(=税負担増)

対象となる主な費用:

  • 関連会社間利息(Intercompany Interest)

  • ロイヤルティ(Royalty / IP使用料)

  • 無形資産関連費用(技術料(Technical Fee)など)

よくあるケース別解説

① 関連会社間利息(グループ内ローン)

ケース:米国子会社が日本親会社から貸し付けを受け、利息を支払う

結論:原則、全額加算

② ロイヤルティ・IP使用料

ケース:米国子会社が日本親会社へロイヤルティを支払う

結論:原則、全額加算

③ 日米租税条約の影響

結論:租税条約は、州税には影響なし

よくある誤解:

  • 移転価格が適正だから利息支払いも損金算入されるべき → ❌ 加算を避けるには、不十分

  • 源泉税を支払っているから 利息支払いも損金算入されるべき → ❌ 無関係

  • 日本で課税されているから利息支払いも損金算入されるべき → ❌ 無関係

加算を減らせる可能性がある例外

以下のケースでは、全額加算とならない可能性があります:

✔ 第三者借入に基づく資金

  • 銀行など外部からの借入をそのまま転貸している場合

結論:利息の一部のみ加算

✔ 第三者由来のIPコスト

  • IPを外部から取得している場合

結論: 原価相当部分は加算不要

✔ イリノイ州の連結申告に含ILまれる場合

  • 支払先の所得が州税上すでに課税対象となっている場合

結論:二重課税回避のため加算不要

✔ 不合理な結果となる場合(Unreasonable exception)

  • 実質的に同一所得が重複課税されるケース

結論:加算不要だが、「不合理性」を立証するのはかなり困難。

実務上の重要ポイント

上記のような海外関連会社への支払いがある場合は、下記のポイントが重要になります。

1. 原則は「全額加算」- まずは支払いは、加算される前提で検討することが重要です。

2. Arm’s Lengthでは不十分 - 移転価格が適正でも、州税では否認される可能性がかなり高いです。

3. トレーサビリティが鍵 - 例外適用には:資金の流れや、コストの裏付けのような明確な証拠が必須です。

チェックリスト:該当する場合は要対応

以下に当てはまる場合は、早期のレビューを推奨します:

  • 海外親会社・関連会社へ利息支払いがある

  • ロイヤルティ・IP費用がある

  • イリノイ州で事業活動を行っている

まとめ|イリノイ州80/20ルールのポイント

  • イリノイ州では外国関連会社への支払いは原則加算

  • 租税条約や移転価格では防げない

  • 例外はあるが限定的かつ証拠重視

  • 日本企業グループは特に影響が大きい

イリノイ州税の最適化をご検討の方は、CDH会計事務所にお気軽にご相談ください。

(本ニュースレターは2026年4月時点の税法・規則に基づいて作成しています。今後の法改正等にご注意ください。)

CDH CPA, PLLCは米国在住の日本人個人・ 法人のお客様向けに、 税務・ 監査(アシュランス) ・ 会計・ ビジネスコンサルティ ング・ IT・ 給与関連サービスを提供しています。 アメリカでの確定申告、 法人税、 会計処理、 監査対応などについてご相談がございましたら、 いつでもお問い合わせください。

本記事に関する注意事項(DISCLAIMER)

本記事の情報を、権利者の許可なく複製、転用等することは法律で禁止されています。本記事は、法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。本記事の掲載情報の正確性、鮮度等については万全を期しておりますが、利用者が本情報を用いて行う一切の行為、生じる結果や損失に関してCDH PLLC及び筆者は何ら責任を負うものではありません。法律や政府の方針は頻繁に変更されるため、実際の税務処理に当たっては、必ず専門家の意見を求めてください。

CDH CPA, PLLCは米国在住の日本人個人・ 法人のお客様向けに、 税務・ 監査(アシュランス) ・ 会計・ ビジネスコンサルティ ング・ IT・ 給与関連サービスを提供しています。 アメリカでの確定申告、 法人税、 会計処理、 監査対応などについてご相談がございましたら、 いつでもお問い合わせく ださい。

——————————————————

CDHサービスについて: サービスのご案内

最新ニュース満載のCDH Newsletterは「配信登録」から購読: CDH最新ニュース

その他のご質問はレック 公子またはcdhoutreach@cdhcpa.com までご連絡ください。 

Previous
Previous

究極の選択(Would You Rather)

Next
Next

経費精算ソフトの導入で米国拠点の業務を効率化 — 会計ソフト連携で「事務ミスの防止」と「決算の早期化」を両立